てんやもの

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てんやものとは我々の若い時代の空腹を満たしてくれる最高の食べものであった。
ちょっとした商店街の大衆食堂にはごく一般的なメニューであった、天丼、親子丼、他人丼を
出前で取り寄せるのであるが、私の幼少期は貧しくててんやものを取って食べることは滅多に無かった。
だからいつも学校の帰り道にある食堂から漂うてんやもののなんとも言いようの無い匂いを嗅ぎながら
いつか腹一杯天丼を食べたいと思いながら帰ったことを思い出す。
てんやものを取って食べた後のどんぶり鉢が玄関の前に置いてある家が多かったものである。
最近は、高価な海鮮丼などもあって話題になっているそうであるが、私にとってはいつも空腹感が頭にあった
昔がよみがえる。
先日、夕飯の用意に慌てて帰宅した家内に「今日はてんやものでも取ったらどう」って言うと子供たちはきょとんとして「何それ?」と言う。
子供にてんやものを説明すると「何処に注文するんや」と言う。
そいいえば、てんやものを取るにも近所にはてんやものを出前する食べもの屋もすっかり無くなったのである。